『蟹工船』小林多喜二(青空文庫)Kindle版
漁のシーンはほとんどないけど。
日本を代表するプロレタリア文学といわれる小林多喜二(こばやし たきじ)の『蟹工船』。2008年の流行語大賞にノミネートされたこともあり、名前を聞いたことはある、って人は多いでしょう。昭和4年(1929年)に発表された小説で、作者の小林多喜二が他界したのは1933年なので、今では 無料 の『青空文庫』で読むことができます。
昭和初期の作品ということもあり、オホーツク海が「オホッツク海」、カムチャッカが「カムサッカ」などと表記されてます。でも、文体とかは今でも普通に読みやすい。
舞台は、そのオホッツク海、カムサッカ半島沖の「北洋漁業」でタラバガニを獲る漁船。
当時、函館などをおもな拠点とする北洋漁業が最盛期を迎えていて、蟹工船はタラバガニを獲るだけじゃなく、船上で缶詰に加工する「工場」でもありました。だから、蟹漁船、ではなく、蟹工船、なんですね。
どれどれ「昭和初期の人たちはどんな風にタラバガニを食べてたのか」とページをめくっても、タラバガニを食べるシーンなど皆無です。ためしに、Kindle版で「食」を検索しても、「馬鈴薯も食えずに」とか「粗末に食い散らされた」とか、切ない一節が出てくるばかり。
僚船のSOS信号を無視して操業を優先する悲しいシーンはありますが、実際にタラバガニ漁をしているシーンもほとんどありません。
書き出しは、「おい、地獄さ行ぐんだで!」という叫び。
読み進めると……
ーー蟹工船はどれもボロ船だった。労働者が北オホッツクの海で死ぬことなどは、丸ビルにいる重役には、どうでもいい事だった。(中略)そこへもってきて、船一艘でマンマと何拾万円が手に入る蟹工船、ーー彼等の夢中になるのも無理がない。
って類いの文章がやけに印象に残る、いい感じにお先真っ暗な小説です。
でも。
最近も何かとブラック企業が話題になるし。
タラバガニ食べながら、ほんのりとしたインテリジェンスを彩りに添えるために、一読しておいて損はない名作です。
そんなに長くないからすぐ読めるし。
タラバガニのかに缶。高級品です!
『蟹工船』を読んでいたら、無性にタラバのかに缶が食べたくなってきたので、ネット通販を調べてみました。
お、すぐに見つかりました。
が、高っ!
缶詰なんて1000円もしないで買えるだろうと高をくくっていたら、タラバガニのかに缶は、高級食材 ってことがわかりました。
実食を旨とする『蟹祭!』ですから、そのうち取り寄せてみよう、とは思いますが。。。
ひとまず、缶詰は誰かがお歳暮で贈ってくれるのを待ちながら、普通のタラバガニから攻めてみたい、と思います。
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