日本海産ブランドずわいがにの頂上決戦!
まずは、端的に結論から言うと。
値段は 越前ガニ のほうが高い。
理由はいくつかあります。
まず、松葉ガニは京都府から島根県まで、いわゆる山陰地方の日本海側で水揚げされる「ズワイガニ」のオスのこと。エリアが広く、当然水揚げされる港の数や、水揚げ量(漁獲量)も越前ガニに比べて多い。
一方で、越前ガニは福井県限定。
同じズワイガニのオス、ではありますが、越前ガニの漁は三国港と越前港(いくつかの漁港の総称)が本場とされていて、水揚げ量は松葉ガニの 1/6 くらい(平成24年の都道府県別ズワイガニ漁獲量から推定)しかありません。
また、ことに三国港産の立派なヤツは、皇室に献上される「献上ガニ」としても知られていて、プレミア感が増してます。
越前ガニは(上手に)茹でただけで京料理!
取材で、越前ガニと松葉ガニを食べ比べたことがあります。
まず、松葉ガニは香住港そばの『さだ助』という高級民宿的な宿でいただきました。
刺身に、鍋に、焼きガニ。どう料理しても、脚の身はほっこりぷりぷりで、ジューシーな甘みが広がる味は、まさに蟹様の最高峰の貫禄十分です。
もちろん、かにみそも絶品。
おいしゅうございました。
越前ガニは、松葉ガニを食べた翌年、三国港のすぐそばにある『荒磯亭(ありそてい)』という旅館でいただきました。
港でのセリも取材して、立派なヤツには、いわゆる「浜値」で「2万!」とか「3万!」という景気良すぎる声が飛び交うのに絶句。
自宅に送る土産には、近くの店で脚の取れたヤツをお手頃価格で買いました。
と、いうのは余談ですが。
その夜、旅館では脚の取れてない立派な越前ガニとご対面。
正直、「松葉ガニと同じズワイガニのくせに、でかい顔しやがって」と思いつついただきました。
いや、びっくり。
全然違いました。
松葉ガニが野趣満点の漁師料理の美味さだとすれば、高級な越前ガニは「茹でてあるだけで京料理」って感じ。甘みが上品で、なんというか、奥深い出汁が効いてる美味さだったのです。
松葉ガニの産地で生まれ育った俺としてはちょっと悔しいですが、越前ガニのほうが「高い」理由に納得せざるを得ませんでした。
洗練された印象の味わいが、高級料亭とか向きなんですね。
「高くても食う」人たちが行く料理店が仕入れるから「高くてOK」という図式です。
でも、安いヤツを食うとガッカリする、かも。
あ、でも、注意すべきことがあります。
荒磯亭の越前ガニに感動した翌日、東尋坊そばの食堂で、活け越前ガニの刺身(少なくともメニューにはそう書いてあった)をいただきました。
店の入り口には水槽があって、立派なタグ付き越前ガニが動いてたし。値段も、たしか1万円近く(うろ覚え)しました。
でも……。
出てきた刺身は、水っぽくてふにょふにょ。心の底からガッカリしました。
越前ガニを食べる時は、少々高くても「いい店」で「いいヤツ」を食らうべき、と学んだのでした。
とはいえ、俺はやっぱり松葉ガニ派、です。
そんなわけで、どっちが高級? と問われれば、越前ガニのほうが高級、ということになります。
ただし、とても大事なことを忘れてはいけません。
越前ガニも、松葉ガニも、
どっちも美味い!
ということです。
それに、郷里の特産、という贔屓目を抜きにしても、手がベトベトになることも気にせず食らいまくるカニ、として、俺は松葉ガニのインパクトの強い美味さを愛します。
いや、もっと大切な結論があります。
越前ガニと松葉ガニ、
どっちでもいいから たらふく食べたい!
いや、ほんと。
心からの願いです。