皆さん、こんにちは。蟹取県・鳥取県出身の手島です。
松葉ガニ漁が解禁になりました。蟹取県・鳥取も「ウエルカニキャンペーン」などで松葉ガニをアピールしています。松葉ガニは現時点では豊漁ということで、スーパーで一杯3,500円で売られてるのを見た!などという、鳥取市在住の友人からの報告が上がっています。鳥取で松葉ガニを食べるなら今!!!であります。
が、しかし。鳥取市民が気になるのは、松葉ガニよりも松葉ガニのメス、通称「親ガニ」の価格。親ガニは他地方では「セコガニ」「香箱ガニ」などとも呼ばれていますが、鳥取県では松葉ガニの親だから「親ガニ」というシンプルな名前です。主に鳥取県東部地方で地元消費されているカニで、鳥取県民が日本一のカニ消費量3,221gを誇る一因ともなっています。(総務省の家計調査、都道府県別カニ消費量ランキングより。なんと全国平均の5,5倍です!)
その鳥取市民の愛する「親ガニ」がどうも今期は不漁らしく、現時点の価格は一杯1,000円程度。通常600円くらいで買える親ガニが1,000円もするとは。でも食べたい。ということで浜下商店で「ワケあり品」を購入しました。これは「足折れ」と呼ばれるもの。その名の通り足が1~数本無くなっていますが、チョーお買い得品です。待つこと1週間、10杯の生親ガニが金曜夜に届きました!10杯の親ガニ、調理レポートをお届けします。
生親ガニを調理する
生親ガニなのでクールで送られてきました。
カニの下にはペットシートのような余分な水を吸収する資材が敷かれ、その下に氷がぎっしり詰まっています。カニから何かが出てきてもシートが吸ってくれているようです。
届いたカニは皆死んでいました。生きてると動いてコワイので死んでくれててよかったです。木曜に届いたのに受け取れず結局金曜日の18時着でしたが、とくに劣化はしていませんでした。
カニが生きている場合は冷蔵庫で一日程度は保存できますが、死んでいたら速攻でゆでます。ゆでたカニは冷蔵庫で2日程度保存できます。食べきれなかったら冷凍庫でも保存可能です。生親ガニが届いたらすぐにゆでる!これが鉄則です。
1.親ガニ10杯の消費計画を考える
届いた生親ガニをボウルにはった真水につけ、タワシでこすります。生のカニにはけっこう汚れがついているのです。親ガニには松葉ガニによくついている寄生虫「カニビル」がついていることがあります。長生きしてる証拠なのですが、タワシでこすってると剥がれますから気になる人はゴシゴシこすりましょう。甲羅のほか、足や腹と甲羅の間などもざっとこすります。
タワシでこする前
タワシでこすった後。カニビルがはがれて少しきれいになっています。
せっかくの生親ガニなので、一部を味噌汁にします。味噌汁は生のまま半分に切ってつくるので、一人半身×家族の人数分を取り分けます。ウチの場合は夫婦2人、2回楽しみたいので2杯取り分けました。この時、とくに小さなカニでカニビルのついていないものを選びます。味噌汁のカニは足を食べるのがめんどうなのと、うまみが出汁に出てしまうので、大きなカニはもったいないのです。
2.生親ガニをゆでる
味噌汁分を取り分けたら大きめの鍋に2%の食塩水を作ります。カニを腹を上にしてどんどん入れます。腹を上にするのは、カニミソがこぼれないようにするためです。沸騰してきたらカニからもろもろと何かが出てきますが、気にしません。カニは水からゆでるのがコツです。沸騰したらその後15~20分程度ゆでてできあがり。
このゆで汁で味噌汁やうどんのつゆが作れなくはないのですが、カニビルがはがれて沈んでいたりするので、作る場合はザルなどでこした方がいいと思います。
家で一番大きな鍋を使います。
いろいろ浮いてきますが気にしません。
紅くおいしそうにゆであがりました。
分解したところ。ガニは取り除いて食べましょう。
3.味噌汁をつくる
甲羅側から切るとおなかに抱えてる卵がつぶされてしまうので、腹側からカニを半分に切ります。手を切らないように注意しましょう。このとき、ミソや内子がデロっと出てくることがありますが、それはちょっと鮮度が落ちてるかもしれません。加熱すれば大丈夫です。今回のカニは中一日経ってたけど、状態良く切れました。
鮮度がいいと半分に切っても中から何も出てきません。
鍋に水を入れ、沸騰したら拍子木切りにした大根とカニを投入します。カニ汁には大根というのが鳥取市民のこだわりです。
できあがり。大根を切らしてたので白菜で代用。でもおいしかった!
4.親ガニごはんをつくる
ゆでた親ガニを一人一杯食べた後、まだゆで親ガニが残っていたら、親ガニごはんを作りましょう。調理する人間は、カニの肉を取り出すのにキーっとなりますが、家族はとても喜びます。愛がないと作れない、それが親ガニごはん。今回は、親ガニ4杯を3合のお米で炊き込みましたが、カニを分解し始めてから肉をすべて取り出すまでに40分かかりました(泣)
内子と外子を取り出したところ。これだけ一気食いしてしまいたい。
足の肉を取り出したところ。内子・外子とほぼ同じ分量、いかに肉が少ないか。
炊飯器に研いだお米、昆布1センチくらいのを2つ、通常の水加減よりも若干減らした水と、減らした分の酒を入れ、ほぐしたカニの肉とミソなどを投入し、普通に炊きます。
親ガニ2杯なら2合くらいがいいかもしれません。
炊きあがったら少し蒸らしてからいただきます。保存する場合はそのまま保温状態にはせず、ごはんがまだ熱いうちに保存容器に取り分けたり、おにぎりにしてください。長時間熱が加わるとその熱で足の肉が干からびてしまうためです。
おかわり必須の親ガニごはん。誰かに作ってもらうのが一番です。
ゆでガニで購入すれば手間がかからない親ガニ(セコガニ)ですが、生を取り扱える店は状態のいいカニの鮮度保持がちゃんとできているというメリットがあります。また生で購入するとゆでガニよりも少し日持ちが少しいいことに加え、生ガニならではの滋味あふれる味噌汁が楽しめます。
親ガニは甲羅の中の内子とミソ、腹に抱えた卵、外子と、足もそこそこ食べられる一杯で3度おいしいカニです。ひと手間かかりますがぜひ生親ガニを試してみてください。