花咲の脚は片側3本(ハサミを除く)というのは、誤解!
かにまみれで買った『花咲ガニ特大オス』。俺にとっては人生で初めて食べる花咲ガニだった。しかも、今回は「姿」の「浜茹で」だ。身の味はもちろん楽しみだったんだけど、もうひとつ、ぜひとも確かめてみたいことがあった。
花咲ガニは、タラバガニと同様に「異尾下目」と呼ばれる「ヤドカリ類」に分類されていることは、『カニの種類、世界と日本ではどれくらい?』という記事でも説明した。ズワイガニや毛ガニの脚は4本(ハサミを除く)だけど、花咲ガニやタラバガニの脚は3本しかない、ように見える。
でも、ジュディス・S・ワイスさんの著書『カニの不思議』を読んでいて、こんな一節に出会ったのだ。
五番目の脚はひどく退化して、移動に用いるには小さすぎ(中略)「偽」のカニでは歩くのに三対の脚を使う。退化した一対は(甲羅の中の)鰓室に隠されていて、鰓をきれいに掃除するのに用いられる。
へえ、そうなのかぁ!
ちなみに、ワイスさんはズワイなどを「真のカニ」、タラバや花咲を「偽のカニ」と区分している。生物学的な分類名を確認しておこう。
真のカニ(ズワイや毛ガニ)=十脚目 短尾下目
偽のカニ(花咲やタラバ)=十脚目 異尾下目
なるほど。学問的には両方とも「十脚目」。文字通り、脚は十本あるはず、なのだ。
ついでにウンチクを重ねておくと、真のカニは「短尾下目」と分類されている。カニはエビとかの仲間でもあるのだが、エビには尾があってカニに尾はない、と思いきや。「短尾」というように、カニにもちゃんと「尾」に当たる部分がある。もうひとつ、『カニの不思議』からの引用を紹介しておく。
真のカニの腹部(尾)はとても退化しており、胴体の下面にたくしあげられている。
そう。カニの裏っかわにある「ふんどし」と呼ばれる部分、実は「尾」が退化したものらしい。
もう一発、「へえぇ!」である。
さて。
かにまみれで買った『花咲ガニ特大オス』は、「姿」の「浜茹で」。そう、甲羅の中に、本当に4番目の脚が隠されているのかどうか、確かめる絶好のチャンス。わくわくしながら、捌いてみた。
ジョギジョキ。
むむむ。
おっ!
おおお。
ほんとにちゃんとありました。第4の脚。
カニの世界。奥深い、っす。