毛蟹の甲羅についている白い物体の謎に迫る
忘れもしない運命の出会い。それは蟹は祭だ!メンバー寄本さんのご自宅でカニ実食会を開いた日です。
いままで、懐石料理などでちょこんと出てくる雀の涙程度の毛蟹を食べたことがあっても、毛蟹まるまる1杯食べたのはこの日が初めてでした。
毛蟹を1杯食べて、ベタですが一番感動したのは、やはりカニ味噌。
感動ボルテージが高ぶりすぎて、
毛蟹のカニ味噌のことを《蟹味噌様》とあがめたてまつり、カニ味噌が黄色いのは当たり前なのに、
後光がさすだの言って、最後には《神味噌様》《神々しい》などと意味不明な供述を繰り返す始末。
旨さの衝撃に脳がとろけて、実名であることをすっかり忘れ、一人トランス状態に陥ってしまったわけです。
なんとも、お恥ずかしい。
どれも、これも全ての元凶は旨すぎる毛蟹であり、主犯格はカニ味噌であります。
そして、忘れてはいけない共犯者が甲羅についた白い塊です。
この記事をより楽しむには下記記事をご一読頂ければ幸いです。
神だの、合掌だの、少ない語彙でカニ味噌を語っております。
カニ味噌レポート記事
【毛蟹の衝撃】蟹味噌と白い塊を混ぜると、とんでもない旨さだった。
で本題。
毛蟹の甲羅についた豆腐のようなフワフワした食感の白い塊はなんなんだ!?ということですよね。
※内臓だの体液だのの話になりますので、そのような話が苦手な方はお控えください。
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ザッと調べると・・・あの白い塊はカニの体液・血液で、
ゆでる前は透明でドロドロしているとのこと。
Y知恵袋に書いてました。
ベストアンサー!!!
になってるけど、
ん??
私は全然納得できない。。。
体液が透明なのはわかる。イメージつく。
ヒトの組織液も透明だしね。理科で習った。(組織液とは血液から血球を除いたものなので無色透明)
でも、血液が透明ってどゆこと??
確かに、魚を捌くと赤い血がでますが、甲殻類には赤い血というイメージがない。
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少し詳しく調べてみると・・・
ヘモグロビンは脊椎動物等の血液中等で、酸素を運搬する働きをしている色素です。
蟹や海老等の甲殻類にも血液は流れていますが、その中にはヘモグロビンは含まれてはおらず(一部例外もあります)、代わりに酸素を運搬する働きをしているのは、ヘモシアニンという色素です。
甲殻類以外にも烏賊、、蛸、巻貝、二枚貝等の軟体動物等、ヘモシアニンを使用している動物は多数存在しています。
ヘモグロビンは酸素と結び付いている状態では鮮やかな赤い色をしていますが、酸素を失った状態では暗い赤色に変化するため、人間等の脊椎動物の静脈血は暗赤色をしているのに対して、動脈血は鮮紅色をしています。そして、ヘモシアニンの場合は、酸素と結び付いた状態では青い色をしているのですが、酸素と結び付いていない状態では無色透明になります。
甲殻類や軟体動物には、赤血球に相当するものは存在せず、ヘモシアニンは血液中に直接溶け込んでいます。
そのため、蟹や海老等のヘモシアニンを使用している動物において、鰓で酸素を取り込んで、全身に送られて行く際の血液は薄い青色をしているのに対し、全身から鰓に戻って来る際の血液は透明になっています。(甲殻類の血液循環は「開放血管系」といって、静脈や毛細血管は存在しませんし、動脈らしきものも大雑把なものです)
そして、水中から出された蟹や海老は鰓呼吸が出来ませんから(短い時間なら鰓が収まっている体内の隙間に残っている水で呼吸出来ます)、酸素不足となって、全身の血液の色が失われて行きます。蟹や海老を捌いても、血液が無色透明なため、血が付いている事に気付き難いのです。
【参考】
森の里ホームズ > 一口メモ > [『一口メモ』インデックス] > 学術情報 > 酸素運搬タンパク質
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なるほど。
上の説明は少しわかりにくいので、
ざっくりと纏めると。
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■脊椎動物(ヒトとか)■
血液内で酸素を運ぶ成分が赤血球(ヘモグロビン)⇒血液が赤い
■甲殻類(カニとか)■
血液内で酸素を運ぶ成分が血青素(ヘモシアニン)⇒血液が青い
★ヘモシアニンの特徴
ヘモシアニンは、酸素と結び付いた状態では青い色をしているけど、酸素と結び付いていない状態では《無色透明》
↓
水中から出された蟹はエラ呼吸が出来ないので、酸素不足となって、全身の血液の色が失われて行きます。
↓
だ・か・ら、我々が普段見る時には血液が透明になっている。
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加熱することで、透明の血液が凝固して白くなるんですね。
ここまで調べて、ぞぞっとしました。
上に紹介した
【毛蟹の衝撃】蟹味噌と白い塊を混ぜると、とんでもない旨さだった。
の記事にあるように、カニ味噌と白い血液をまぜまぜして食べた訳ですが、
そもそもカニ味噌もこちら(「かにみそ」って、なぜ美味い?)で紹介したように「中腸腺(ちゅうちょうせん)」という器官で、肝臓と膵臓の機能をあわせもっていることから「肝膵臓(かんすいぞう)」という内臓。
やっていることは、毛蟹の内臓と血液をまぜて、崇めたてまつっているという世紀末救世主伝説の悪役もドン引きな行為だったのです。
おそろしや。
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こんなこと考えだしたら毛蟹だけでなく何も食べられなくなるので、毎日の食事では様々な生物に生かしてもらっているいう思い忘れず、感謝の気持ちをもって食べたいと思います。
焼肉もホルモン好きだし、ハラミもホルモンらしいし、やっぱり内臓は旨い。
ちなみにホルモンとは、本来捨てていた内臓肉を、関西地区で、ほおるもん(捨てるもの)と呼んでいたためについた言葉だそうです。
(Y知恵袋より)
ご清聴ありがとうございました。