おいしい「蟹様」の基礎知識:ズワイガニ
<ブランドかにの誘惑>
そうです。
高級ブランドかに といえばズワイガニ。
あらためて説明するまでもない日本人の常識だけど、福井県で水揚げされる『越前ガニ』とか兵庫県や鳥取県などで水揚げされる『松葉ガニ』は同じ日本海産のズワイガニの通称です。
まずは、ズワイガニのあらましを調べてみた。
ズワイガニのプロフィール
クモガニ科ズワイガニ属。
英名:Snow crab。
本州以北の日本海とオホーツク海、北太平洋に広く分布。
水深40〜600mの海底に生息。
おおむね水深200m以上で水温の低いところが好き。
雑食性。
脚の長さが特長!
雄ガニが日本海で漁が許されるサイズに育つまで10年近くかかる。
漁獲できる雄は甲長9cm(90mm)以上。
メスは大きくても8cmほど。
オスの大型は甲長13cm、甲幅18cmほどになる。
重さ1kg超えたら高級品。
原則として、でかくて重いほど、うまい!
へえ。
英語では「Snow crab」なんだ。知らなかった。
冬の日本海に似合いの、ロマンチックな名前じゃないですか。
で、都道府県別の水揚げ量はこんな感じ。
都道府県別ズワイガニ漁獲量(トン)
1位:兵庫県 1,373
2位:鳥取県 1,114
3位:石川県 524
4位:福井県 503
5位:新潟県 302
6位:島根県 178
7位:北海道 139
8位:京都府 81
9位:山形県 68
10位:富山県 49
11位:秋田県 23
※出典:農林水産省「海面漁業生産統計調査」(平成24年度発表)
11位までしか紹介しなかったのは、これ以外の都道府県はデータがない、
つまり、水揚げされていない、からです。
太平洋側でも獲れないわけではなく、
数年前までは福島県がランクインしてたんだけど、震災以降は。。。
で。1位の兵庫県と2位の鳥取県、6位の島根県や8位の京都府、
いわゆる「山陰地方」で水揚げされたズワイガニは、晴れて「松葉ガニ」の資格を得る。
4位の福井県で獲れると「越前ガニ」。
松葉ガニや越前ガニなどには、水揚げされた漁港で
ブランドかにの証であるプラスチック製のタグが付けられる。
ブランドかにの審査は厳しいのだ!
でも、その地方で水揚げされたら全部がブランドかにかといえば、
蟹様の世界もそんなに甘くはない。
まず、ブランドかにの資格があるのは雄♂のかにだけ。
さらに、大きさや汚れ、身の入り具合などによって厳しく選別。
脚が折れたり取れたりしててもランクが落ちて、
漁港によっては100以上のランクに選別した末に、
一定の基準を満たした蟹様だけが、晴れてタグを付けられるってことになっている。
毎日のように海が荒れる真冬の日本海で漁をして、
手間暇かけて選別し……。
一度、越前ガニの、水揚げ漁港のひとつである三国港のセリを見たことがある。
立派なかにが次々にセリ台に上がって競り落とされていくんだけど、
なんと。
立派なかにには漁港のセリの段階で気前よく一杯数万円の声が飛ぶ。
そりゃ、高いはずだよね。
で、どんなブランドが?
同じ日本海産のズワイガニでも、まずは大きく2つに分類できる。
能登半島と富山湾の沖合あたりを境界にして、
それより「西」の海域(ようするに、富山県以西)と、
新潟県より北、青森県までの海域、
さらに北海道の沖合では漁期などが異なっていて、
いわゆるブランドかには、能登半島沖よりも西の海域で漁獲&水揚げされる。
ブランドと、漁期を整理しておこう。
越前ガニ
福井県の、三国港と越前漁港、敦賀、小浜などに水揚げされる立派なヤツ。
水揚げ港の名前が入った黄色いタグが付けられる。
ことに、三国産は皇室への献上ガニとして知られている。
松葉ガニ
京都から島根までの山陰で水揚げされる。
漁港や地域によって、いろんなタグが付けられる。
京都の間人(たいざ)ガニ、兵庫の柴山ガニなどは、
エリアが広い松葉ガニ産地で差別化を図って誕生した
漁港やら、細分化したエリア限定のブランド名です。
(最近はちょっと乱立気味。。。)
加能ガニ
石川県で水揚げされるズワイガニの、平成18年に誕生した新ブランド名。
水色のタグが付けられる。
で、ここまでが、富山湾以西のブランドかに。
漁期は、雄が11月6日〜3月20日まで。
雌は11月6日〜1月10日まで。
北海道まで含めた富山湾沖合より北の海域で獲れたのは、全部まとめて
ズワイガニ。
漁期は本州沖合が雄雌ともに10月1日から5月31日まで。
あと、北海道では、11月〜12月、厳冬期を挟んで3月〜6月が漁期で、
オホーツク海では4月〜5月が旬、とされてます。
雌♀の呼び名もいろいろなのだ
そんなわけで、かにすきなどで太い脚をいただくズワイガニは雄♂のかに。
産地によって呼び名もいろいろってことなのだが。
雌♀のズワイガニも、いろんな名前で出ています。
越前あたりじゃ 聖子、いや、セイコガニ。
山陰にいるときゃ、セコガニ 、や 親ガニ と呼ばれ、
金沢では、香箱ガニ と呼ばれます。
ほかに、コッペ とか メガニなどと呼ぶ地域もあるそうだ。
ズワイガニのメスは、オスに比べて小さくて、
脚の身を味わうのはひと苦労。
でも、オスのブランドズワイガニが一杯数万円!とかするのに比べて、
まずは安い!のが魅力。
産地で買えば1杯1000円以内からという値段で食らうことができる。
そして!
オスとの最大の違いにして、
セイコガニ(俺の好きな呼び方)ならではの美味を満喫できるのが。
外子(そとこ)
と
内子(うちこ)。
外子は産卵を控えてお腹側の二重になった甲羅に抱かれた卵。
内子は卵巣で、カニ味噌とともにメインの甲羅に秘められた珍味。
むしろ、セイコガニを食べずして、ズワイガニを語ることなかれ、
って、俺は言いたい。
ズワイガニの、いろいろ
『蟹は祭だ!』には、ズワイガニに関するいろんな情報も満載!
いい蟹に出会うための参考にしてくれぃ!
通販でうまいカニ図鑑:ズワイガニ(♂)
雄ズワイガニを通販で買って後悔しないための、いろいろ。
通販でうまいカニ図鑑:ズワイガニ(♀)
雌ズワイガニを通販で買って失敗しないための、いろいろ。
『活ガニを茹でる! ズワイガニの場合』
ズワイガニを活けガニで購入した時の、上手なゆで方を予習してみました。
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ズワイガニのかにみそ。なぜおいしいのか調べてみました。